<論説>清朝後期の駐防八旗 --太平天国の乱と杭州八旗--

  • 葉 勝
    京都大学文学研究科博士課程

書誌事項

タイトル別名
  • <Articles>The Eight Banner Garrisons in the Late Qing Dynasty: The Taiping Rebellion and the Hangzhou Garrisons
  • 清朝後期の駐防八旗 : 太平天国の乱と杭州八旗
  • シンチョウ コウキ ノ チュウボウハッキ : タイヘイ テンゴク ノ ラン ト クイシュウ ハッキ

この論文をさがす

抄録

清朝の統治の根幹をなす駐防八旗は、地方に対する支配の現れであり、かつ統治の特色を体現したという点で重要であった。本稿は「清代宮中檔案奏摺及軍機処檔案摺件」や『鎮守杭州等処将軍満文檔案冊』など満漢文の原史料を用い、太平天国の乱における杭州八旗の戦力と戦いぶりから、清朝後期における駐防八旗の位置付けを再考するものである。杭州の戦いでの杭州八旗の働きを子細に追うと、二百年以上の歴史を持つこの職業軍が同時代の近代化された欧米列強の軍隊には遠く及ばないものの、依然として相当の戦闘能力を保持していたことがわかるし、駐防旗人の実質的土着化は、在郷軍である駐防八旗の戦意を強化した。先行研究では、太平天国の戦いに敗れたという結果のみから八旗、特に駐防八旗が制度として腐敗していたと評価するが、戦死者の遺族への保障制度が四十年以上も続いたことは、八旗行政が清末にいたるまで安定していたことを示している。

収録刊行物

  • 史林

    史林 105 (3), 415-454, 2022-05-31

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ