リンゴ作における新しい栽培方式の植栽初年度生産要素投入の特徴

書誌事項

タイトル別名
  • The Features of the First Year Inputs of Materials, Labor force and Money in New Apple Orchard Systems
  • : Based on the Examination on the Experimental Farm of Tsugaru Hirosaki Agricultural Cooperative
  • -つがる弘前農協実証圃場における大規模試験に基づく-

抄録

<p>果樹園の栽培方式の革新は果実の収量および品質の改善に不可欠である.現在,リンゴ生産は労働力やリンゴ生産量の不足などの問題を抱える.その解決のための一つの主要な方策として新しい栽培方式の導入が期待されている.しかし新しい栽培方式には樹木を支えるための施設が必要であることが多い.また,1年齢から樹形を作るための作業に多くの労働力が必要となる.このため新たな栽培方式の導入において必要な要素投入を明らかにすることが普及を進める上で重要である.本稿の目的は,従来の方式と比較して,リンゴの新しい栽培方式の初年度の開園費用,生育管理費用,および労働投入の特徴を明らかにすることである.分析はつがる弘前農協の実験圃場における試験にもとづいている.得られた結果は次の通りである.トールスピンドル栽培,ジョイント栽培では,慣行のわい化栽培よりも,苗木の植栽,苗木の支持設備,1年間の生育管理のために3~5 倍の初年度支出を必要としている.同時にリンゴ生産者は,最も忙しい摘果の時期に,苗木の育成に多くの労働を投入する必要がある.これらから,リンゴ生産者が1 年間にこれらの栽培方式を導入する面積は限られる.それゆえ,果樹園全体を更新するには長い期間が必要となる.一方,新栽培方式の中でも朝日ロンバス栽培は慣行のわい化栽培と同程度の集約性であり,雪害などに対しては慣行よりも耐性があることから,地域によって適応性の高い栽培方式を検討すべきである.</p>

収録刊行物

  • 農村経済研究

    農村経済研究 37 (2), 21-30, 2020-02-01

    東北農業経済学会

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