アセフェートの発生-発達期慢性曝露が雌雄の生殖機能成熟に及ぼす遅発影響評価

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  • Exposure to acephate during early life stages alters sexual maturation and reproductive systems in male and female mice

抄録

<p>【背景】有機リン系殺虫剤であるアセフェート(Ace)は、哺乳類でも神経毒性が懸念されている環境化学物質である。また、神経系以外にも、生殖系へ毒性を示すことが報告されている。しかしこれらは、曝露中/曝露直後の影響を扱ったものであり、Aceの発生-発達期曝露が及ぼす遅発生殖影響を評価した網羅的研究は無い。したがって、性成熟を含めた一定期間、個体別のモニタリングを行う必要があると考えられる。本研究では、Aceの発生-発達期慢性曝露が、雌雄の生殖機能成熟に及ぼす影響を評価することを目的とした。</p><p>【方法】C57BL/6N妊娠マウスに対してAceを飲水投与した。投与期間は胎生11.5日齢から産仔が生後4週齢になるまでとした。Ace曝露群は、ADI(0.03 mg/kg)に相当する低用量群(0.3 ppm)のほか、高用量群(300 ppm)を設定し、対照群には水道水を飲水投与した。その後、性成熟の指標である雄の包皮分離および雌の膣開口を毎日観察し、また、内分泌かく乱マーカーである肛門性器指数(AGI)を毎週測定した。さらに、8週齢以降は性周期を毎日分析し、12週齢時には精子運動性の評価および組織採取を実施した。</p><p>【結果・考察】包皮分離および膣開口は、それぞれ高用量群で有意な遅延がみられ、AGIの逸脱は雌の両曝露群で確認された。性周期については、低用量群でM期の割合が有意に減少した。また、精子運動性には差がみられなかった一方、高用量群の精嚢腺重量が有意に減少した。以上のことから、Aceの発生-発達期曝露は、雌雄ともに神経内分泌系を介したシグナルかく乱を誘発し、正常な生殖機能の成熟を妨げることが示唆された。今後、組織解析を含めた検討を進める予定である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856141143353984
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-52e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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