MRIによる活性酸素種の検出に着目したマウス脂肪肝炎への進行に関する研究

DOI
  • 吉野 有香
    住友ファーマ株式会社 大阪大学大学院 生命機能研究科
  • 藤井 雄太
    住友ファーマ株式会社 大阪大学大学院 生命機能研究科
  • 千原 和弘
    住友ファーマ株式会社
  • 中江 文
    大阪大学大学院 生命機能研究科 情報通信研究機構及び大阪大学、脳情報通信融合研究センター
  • 圓見 純一郎
    大阪大学大学院 生命機能研究科 情報通信研究機構及び大阪大学、脳情報通信融合研究センター
  • 吉岡 芳親
    大阪大学大学院 生命機能研究科 情報通信研究機構及び大阪大学、脳情報通信融合研究センター
  • 宮脇 出
    住友ファーマ株式会社

書誌事項

タイトル別名
  • Examination of progression to mice steatohepatitis focusing on the detection of reactive oxygen species using MRI

抄録

<p>【背景及び目的】薬剤性脂肪肝は脂肪肝炎となり、更に重篤な肝硬変又は肝がんに進行する危険性があるが、臨床では本病変の進行を非侵襲的にモニターする有効な手段が存在しないため、医薬品開発上の課題になっている。本病変の進行には活性酸素種の関与が考えられており、近年、前臨床研究では活性酸素種と反応するニトロキシルラジカルをプローブとして用いた電子スピン共鳴法(ESR)にて、活性酸素種の標的器官・組織における信号強度の減衰速度(Decay rate)が上昇したとの報告がある。そこで、我々は同様の磁気共鳴法であり、かつ臨床でも広く普及している核磁気共鳴画像化法(MRI)を用いて、マウスにおける脂肪肝炎への進行に伴うDecay rateの変動を調べ、肝炎バイオマーカーとしてのDecay rateの活用や活性酸素種の関与について検討した。</p><p></p><p>【方法】5又は8週齢のNASH病態モデルマウス(STAMTMマウス)を用い、全身麻酔下で腹部をMRIにて撮像した。撮像開始後2分にニトロキシルラジカルである3-Carbamoyl-PROXYL(以下、CmP)の200 mg/kgを静脈内投与し、10秒間隔で計17分間の画像を取得した後、安楽死させて肝臓を採取した。取得した画像における肝臓の輝度を経時的に測定することにより、Decay rateを算出した。採取した肝臓は病理組織学的検査を実施し、脂肪肝及び脂肪肝炎の進行度を診断した。なお、対照としてC57BL/6J系マウスを用いて同様に処置した。</p><p></p><p>【結果及び考察】病理組織学的に脂肪肝炎と診断された例では、本病変の進行度に応じて肝臓のDecay rateも上昇したことから、脂肪肝炎への進行には活性酸素種が関与しているものと推察された。また、本法を用いることにより薬剤性脂肪肝の進行を非侵襲的にモニターできる可能性も示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856141143363328
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_p-80e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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