ニトロソアミン類混入問題を契機とした微量変異原性不純物のリスク評価と品質管理

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タイトル別名
  • Risk Assessment and Quality Control of Trace Mutagenic Impurities Triggered by the Nitrosamine Contamination Issue

抄録

<p>強力な遺伝毒性発がん物質として知られているN‐ニトロソジメチルアミン(NDMA)がバルサルタン原薬へ混入するという事象が2018年に発覚し、これ以降に諸外国の規制当局から全ての医薬品について原薬合成及び製剤製造工程におけるニトロソアミン類が不純物として混入するリスクについて一斉点検を求める通知が発出された。本邦でも2021年10月8日に同様の通知が発出された。</p><p>混入リスクが確認されると、ニトロソアミンの量を懸念の無いレベルまで低減する、あるいはゼロにする管理手法の設定が求められている。低減する場合、M7のコンセプトに則って10万分の1の発がんリスク以下に管理することが求められ、発がん性試験データがない化合物についてEMAはデフォルト値として18 ng/day以下を提示している。このデフォルト値はニトロソアミン類の中でも一番発がん性の強いNDEA等の発がん性データを根拠に設定されているが、その一方ですべてのニトロソアミン化合物が強力な発がん性を示すとは限らないことを示唆する報告もある。ICHM7ガイドラインでは不純物の遺伝毒性評価としてQSARの利用が認められているが、ニトロソ化合物についてはCohort of Concernとして「混入してはいけない不純物」と取り扱われてきた背景から、QSARが最適化されておらず発がんリスクを適切に見積もることが出来ていない化合物クラスとも言える。このため、今回の事象を契機としてこの化合物クラスの変異原性及び発がん性リスク評価を妥当に行うにはどのような情報が必要で、どのように評価を進めるのが適切かを当局と産業界で議論中である。</p><p>本公演では、これらの経緯を紹介するとともに、ニトロソアミン類不純物のリスク評価方法にまつわる諸外国における規制当局と産業界での議論点について紹介する。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856141143397888
  • DOI
    10.14869/toxpt.49.1.0_s3-2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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