概日リズム攪乱が引き起こす精巣機能障害
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- 三浦 伸彦
- 横浜薬大
書誌事項
- タイトル別名
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- Testicular dysfunction caused by circadian rhythm disturbance
抄録
<p> 生物が有する概日リズムを強力に攪乱する要因は夜間の光曝露である。夜勤を伴うシフトワークなどによりこの概日リズム攪乱が継続すると、発がんをはじめとした重篤な健康障害が引き起こされる。我々は、シフトワークモデルを用いてマウスの概日リズムを攪乱すると、明確な精巣機能障害が誘発されることを見出してきた。本シンポジウムでは、明暗シフト条件下での中~長期間の飼育が精巣機能を減弱化することを、多角的に検討したデータと共に紹介する。</p><p> 我々が得てきた結果は、「光」という環境因子が不妊要因の一つとなり得ることを示す。現代は24時間社会であり、街中のどこでも明るく、またスマートフォンなどの電子機器の普及で室内でも夜間の光曝露を受ける。従って生活環境(街中、家庭内)でも幼少時から夜間光曝露を受ける状況にあり、通常の生活でも概日リズム攪乱が生じる可能性がある。この概日リズム攪乱は、精巣機能障害のみならず、性徴への影響や次世代影響にも結び付くことが危惧される。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 49.1 (0), S37-1-, 2022
日本毒性学会