シラスナガイ科二枚貝 <i>Limopsis belcheri </i>の分類学的再検討

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  • Taxonomic Re-examination of <i>Limopsis belcheri</i> (Bivalvia: Limopsidae)
  • Taxonomic Re-examination of Limopsis belcheri (Bivalvia: Limopsidae)

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抄録

<p>シラスナガイ科二枚貝 Limopsis belcheri(Adams & Reeve, 1850)は Samarang号航海において南アフリカの喜望峰沖水深120尋より得られたとされる標本をもとに創設された名義タクソンである。原著者のA. Adamsは後にそのタイプ産地が “Korean Islands” であるとの訂正を示唆したがその根拠については明示されておらず,東アジア周辺産の外見が類似する Limopsis tajimae G. B. Sowerby III, 1914 オオシラスナガイ,L. uwadokoi Oyama, 1951 ミノシラスナガイ,L. tokaiensis Yokoyama, 1910 トウカイシラスナガイとL. belcheriとの分類学的な関係をめぐっては研究者間で混乱が生じていた。本研究は,ロンドン自然史博物館に収蔵されているLimopsis belcheriのシンタイプを再検討し,L. belcheriは弾帯受が繊維状靭帯のみで充填されることと腹縁内面の刻みをもつことにより,L. tajimae, L. uwadokoi, L. tokaiensisとは明瞭に区別できる別種であることを再確認した.また,これまで日本,韓国および中国からL. belcheriとして図示された標本は,いずれも上記の形質に合致するものはなくL. belcheriではないことが明らかとなった。一方,同じく喜望峰沖周辺の深海域から記載された Limopsis chuni Thiele & Jaeckel, 1931は L. belcheriのタイプ標本と形質がほぼ合致することから,L. belcheriの新参異名となることがわかった。これらのことから L. belcheri のタイプ産地は韓国周辺ではなく原著で指定された通り南アフリカ喜望峰沖である可能性が高いと判断される。</p>

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