子宮体部と卵管に表層進展した子宮頸癌の 1 例

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タイトル別名
  • Superficial spreading squamous cell carcinoma of the uterine cervix involving the endometrium and fallopian tubes
  • ―A case report―

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抄録

<p>背景:頸管狭窄により術前組織学的診断不能も,卵管内容液の術中迅速細胞診陽性を根拠に広汎子宮全摘術を施行しえた,子宮体部と卵管に表層進展した子宮頸癌症例を報告する.</p><p>症例:50 歳代,1 経産,6 年前に閉経,2 年前に子宮頸部異形成に対し子宮頸部円錐切除術施行.5 ヵ月前より腹部膨満と腹痛が出現,画像検査で子宮および両側卵管留水腫と子宮頸部腫瘤あり,血清 SCC 高値を認めた.子宮口は完全閉鎖し術前の病理学的診断困難だった.術中所見で手拳大の子宮と鶏卵大の両側卵管留水腫を認め,卵管内容液の術中迅速細胞診で扁平上皮癌細胞を強く疑う壊死性細胞を認めた.子宮頸癌ⅠB 期と診断し,子宮傍結合織と腟壁の一部を含めて子宮と両側付属器を摘出した.摘出子宮の迅速病理診断で頸管型扁平上皮癌を確認した後に骨盤リンパ節郭清を行い,広汎子宮全摘術を完遂した.手術標本では扁平上皮癌が頸管上皮,体内膜および両側卵管上皮を置換して広範に分布していた.</p><p>結論:子宮頸癌では術式決定のため術前の病理学的診断は必須だが,術前の病理学的診断が困難でも,十分な臨床所見の検討と術中迅速病理診断を組み合わせることにより根治性の高い一期的な治療が可能と考える.</p>

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