難治性喘息における2型自然リンパ球(ILC2)の病的変化

  • 奈邉 健
    摂南大学 薬学部 薬効薬理学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Pathogenic changes in group 2 innate lymphoid cells (ILC2) in intractable asthma

説明

<p>難治性喘息患者にはステロイド治療でコントロールできない患者が存在する.喘息患者の5~10%はステロイド抵抗性であるとされる.しかし,ステロイド抵抗性を示す難治性喘息モデルの作成は困難であり,発症機序の詳細は明らかではない.本稿では,著者らが開発したステロイド低感受性を示す難治性喘息モデルを紹介するとともに,本モデルにおける2型自然リンパ球(type 2 innate lymphoid cells:ILC2)の病的変化,ならびにその分子機序について述べる.卵白アルブミン(ovalbumin:OVA)+Al(OH)3で感作したBALB/cマウスにOVA溶液を5 μg/animalで反復気管内投与して誘起した肺への好酸球および好中球浸潤ならびに気道リモデリングは,デキサメタゾン(1 mg/kg)によって強く抑制されたが,反応惹起に100倍量のOVAを使用した場合の喘息反応は同用量のデキサメタゾンに低感受性であった.肺に浸潤したTh2細胞およびILC2をin vitro刺激した場合,ILC2はTh2細胞よりも顕著に多量の2型サイトカインを産生した.また,ステロイド低感受性モデル由来のILC2は感受性モデル由来のそれに比して,有意に多量の2型サイトカイン産生を示すとともに,thymic stromal lymphopoietin(TSLP)受容体およびsignal transducer and activator of transcription(STAT)5a遺伝子の発現増強を示した.したがって,ILC2は喘息のステロイド低感受性獲得という喘息の難治化において,病的にフェノタイプ変化を起こしていることが明らかとなった.さらに,難治性喘息治療に使用される抗IL-5抗体は,気道リモデリングに対するステロイド低感受性を有意に改善した.以上より,ステロイド低感受性喘息モデルを確立し,ILC2が起炎性に病的変化を遂げていること,さらに,ILC2から高産生されるIL-5がステロイド抵抗性の獲得に関わる可能性が示唆された.上記の分子はステロイド抵抗性を示すような難治性喘息の治療薬開発の標的となり得るものと期待できる.</p>

収録刊行物

  • 日本薬理学雑誌

    日本薬理学雑誌 157 (5), 299-304, 2022

    公益社団法人 日本薬理学会

参考文献 (24)*注記

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