デ・キリコの望楼

  • 片桐 悠自
    東京都市大学建築都市デザイン学部建築学科

書誌事項

タイトル別名
  • Watchtower of De Chirico
  • : Design process of Aldo Rossi's Town Hall of Muggiò (1971-72)
  • ─アルド・ロッシの「ムッジオの市庁舎」(1971-72)の設計プロセス─

抄録

本研究は,建築家アルド・ロッシの設計思想における画家ジョルジョ・デ・キリコの影響を追う.まず,ロッシの手記『青のノート』を通じ,1968-71年までのデ・キリコへの言及を抽出し,円錐台の〈塔〉に付随するモチーフを導出する.ここから,1972年1月25日の「ムッジオの市庁舎」(1971-72)のエスキース図を分析し,広場に計画されたデ・キリコの彫刻《考古学者たち》の引用の意図を論じる.「ムッジオの市庁舎」の円錐台は,同年の「ファニャーノ・オローナの小学校」のクーポラとの関連が見受けられる.つまり,ロッシがデ・キリコの絵画から学んだ円錐台の〈塔〉のイメージは,パースペクティブ上の遠景をなす“見られる塔”でありながら,“見る塔(望楼)”として,建築作品へと応用されたといえる.

収録刊行物

  • 図学研究

    図学研究 55 (2), 13-20, 2021

    日本図学会

参考文献 (2)*注記

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