徳島県内で製造される「ねさし」の名称のついた味噌(ねさし味噌)の理化学的・微生物学的特徴

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タイトル別名
  • Physicochemical and microbiological properties of miso with the name "Nesashi" manufactured in Tokushima

抄録

<p>【目的】味噌は全国で生産されている発酵食品で、地域色が豊かで製造に用いる原料や麹の種類と歩合、熟成期間など多種多様である。徳島県では「御膳味噌」と呼ばれる甘口の米味噌があり、多くの消費者に認知され親しまれているが、一方で「ねさし」の名称がついた味噌も製造・流通されている。ねさしとは徳島の方言で「寝さす(寝かせる)」の意味があり、語形が名詞化して「ねさしみそ」などの名がついたと言われている。そこで「ねさし」の名称のついた味噌(ねさし味噌)の理化学的・微生物学的特徴について比較を行った。</p><p>【方法】徳島県内の醸造所や小売店で入手した8種類のねさし味噌を用いた。また比較として愛知県の八丁味噌(豆味噌)と御膳味噌(米味噌)を用いた。味噌の理化学的特徴は水分量(105℃、電子式水分計)、pH、塩分濃度(デジタル塩分計)、酸度(NaOH滴定法)、色調(測色色差計)を測定した。微生物学的特徴は各種寒天培地を用いて一般生菌、耐塩性菌、カビ、酵母、乳酸菌の測定を行った。</p><p>【結果・考察】ねさし味噌は豆味噌4、米味噌3、合わせ味噌(豆+米)1で、豆味噌の割合が多かった。ねさし味噌は2年以上の長期熟成がされたもので、中には8年以上寝かせた味噌も含まれた。水分量は味噌によって差が見られ、また酸度は豆味噌で低い傾向があり、製造方法の違いによるものと考えられた。塩分濃度は県西部で作られている豆味噌で高い傾向(13.7~16.3%)があった。色調(Y値)は0.45~2.99で八丁味噌(0.88)に相当する暗さだった。多くのねさし味噌はカビ、酵母、乳酸菌不検出で、検出された一般生菌は芽胞形成菌と考えられる耐塩性菌だった。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856229465683200
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_101
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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