静岡県の家庭料理 地域の特徴

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タイトル別名
  • Shizuoka Prefecture home cooking: local characteristics
  • Geographic characteristics and how they relate to food production and preparation
  • ー地理的特徴と食料の生産や調理ー

抄録

<p>【目的】 静岡県の食料生産と家庭料理の地理的特徴を示す。</p><p>【方法】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」の調査ガイドラインに基づき、静岡県東部(沼津市、富士宮市、伊東市)、中部(静岡市、焼津市、藤枝市)および西部(袋井市、浜松市)の各地域において居住歴が30~81年の男女61人を対象に昭和35年から45年頃の風習と家庭料理について聞き書き調査を実施した。</p><p>【結果・考察】 まず、地理的特徴を示す。静岡県は日本列島の本州太平洋沿岸部のほぼ中央に位置する。海岸線は伊豆半島から日本で最も深い駿河湾を囲み、遠州灘に沿って浜名湖に至る。富士山や南アルプス、天城山の個性豊かな森林は県内の主要河川の源流であり、豊富な水の供給源となる。川や海は多様な魚貝や植物が生息し豊かな漁場となる。海岸域の海洋性気候と内陸の内陸性気候により、年平均気温は15℃程度と全般的には温暖であるが、寒暖差が大きい山間地では雪が降る。平地や丘陵地、中山間地や山間地では各地理条件に適した穀類が栽培された。昭和35〜45年の静岡県の米栽培面積は全国平均より広い規模であった。次に、日本の主要農作物である米を使った静岡県の家庭料理を紹介する。日常的な食事形式は、めし、汁もの、おかずと漬物であり、その地域の魚介類や野菜、山菜類が取り入れられた。そばや麦、豆類、種実類、いも類、干し椎茸や切干し大根、茶等の乾物も活用された。これらは、すし、炊き込み飯やどんぶり類、もちやだんご類に特色をもたらした。静岡県の家庭料理は簡潔な調味で調理工程に無駄がなく、食材の味と色や香り、食感が生かされる。以上は、静岡県の多彩な家庭料理の成立に地理的特徴が影響していることを示している。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856229465735808
  • DOI
    10.11402/ajscs.33.0_191
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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