マヨネーズの乳化状態に及ぼす加熱の影響
書誌事項
- タイトル別名
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- The effect of heating on the evaluation of emulsification of mayonnaise
説明
<p>【目的】マヨネーズは、一般に凍結や加熱により分離するとされる。凍結分離は、油脂の結晶化に起因することが報告されている。加熱は、袋詰めの低温殺菌による冷蔵のポテトサラダなどの製造で実際にはおこなわれている。しかし加熱によるマヨネーズの自体の変化については、100℃まで安定とされる報告があるものの詳細は不明である。実用上100℃以上の加熱が求められることも多い。マヨネーズの加熱条件による変化を検討した。</p><p>【方法】マヨネーズは、市販の卵黄タイプのものを用いた。プラスチックチューブに詰めた後、60℃、70℃、80℃、90℃で1時間加熱した。121℃は、レトルト袋に詰め高圧加熱しF値を測定した。油の分離状態、粒度分布計による平均粒径、顕微鏡による観察、圧縮による硬度の測定を行った。</p><p>【結果・考察】90℃までの加熱では、表面の乾燥と思われる分離以外には、分離しなかった。121℃では、一部分離が見られたが、冷凍のように完全に相分離はしなかった。平均粒径は、60℃では、2μmと変化がなかったが、70℃、80℃では、5μm前後、90℃では、10μmと大きくなり、121℃では、分離していない部分は、10~20μmだった。硬さは、80℃以上で温度により増加し、90℃以上では、ゲル化によるクラックが見られた。加熱中に撹拌することで、80℃以上で分離が見られた。加熱したマヨネーズを凍結分離して再乳化をおこなった。卵黄の凝固温度を超えた90℃までは、再乳化したが、121℃では、乳化力が低下した。マヨネーズの加熱による分離は、卵黄の熱変性よりも物理的な力が加わることや、水分の減少により粒子間の距離が縮まることが、促進している可能性が示唆された。</p>
収録刊行物
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- 日本調理科学会大会研究発表要旨集
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日本調理科学会大会研究発表要旨集 33 (0), 25-, 2022
日本調理科学会