ミャンマー・シッタン川エスチュアリーにおける数十年規模の地形発達

DOI Web Site Web Site 参考文献23件 オープンアクセス
  • 南雲 直子
    国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター
  • 江頭 進治
    国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター

書誌事項

タイトル別名
  • Multi-decadal Landform Evolution in the Sittaung River Estuary, Myanmar

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抄録

<p> ミャンマーにあるシッタン川の河口には,典型的なロート状の平面形状をもつ潮汐卓越型のエスチュアリーが発達し,大潮の際にはタイダルボアが形成される。本研究では,流れ,土砂輸送および地形の相互関係に着目し,シッタン川のエスチュアリーにおける数十年規模の地形変化のメカニズムを明らかにした。現地調査と,地形図および衛星写真の時系列分析によれば,シッタン川の主流路は少なくとも過去100年の間変動しており,20年程度の周期で右岸と左岸に河岸線の前進と後退を交互にもたらしている。このような周期性は,侵食に伴う滑らかな河岸線の発達と,州の付加および排水路の形成に伴う鋸状の河岸線の発達,および村落分布の変化から説明される。河岸侵食のおもな営力はタイダルボアとそれに続く上げ潮の流れであり,これらが河岸下部を侵食して河岸上部の土塊を崩落させることで河岸線は著しく後退し,土砂はエスチュアリーへと供給されている。このような主流路の移動と河岸線の変化は,流路の蛇行の変化と流路の分岐という2つの素過程によって模式的に説明される。すなわち,河川流と潮汐流の影響下で土砂輸送能力が急激に減少する場所では流路変動が生じる。その結果,タイダルボアのおもな遡上ルートが変わって新たな侵食が起こり,エスチュアリーにおける主流路の移動と河床変動を助長するものと考えられる。</p>

収録刊行物

  • 地学雑誌

    地学雑誌 131 (4), 427-445, 2022-08-25

    公益社団法人 東京地学協会

参考文献 (23)*注記

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