インドネシアにおける般若波羅蜜多菩薩坐像について

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  • A Study of Prajñāpāramitā in Indonesia
  • A Study of Prajnaparamita in Indonesia

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抄録

<p> インドネシアで確認できる般若波羅蜜多菩薩坐像(Prajñāpāramitā)について転法輪印(説法印)の像を中心に取り上げた.現段階では鋳造像が2軀,鋳造像で智拳印を結ぶ大日如来と対をなす像が2組,石造像が3軀である.</p><p> 鋳造像は20㎝以下であり,中部ジャワ地域と東部ジャワ地域で出土し,時代は8-11世紀に亘る.石造像は約1mを基準に巨大で東部ジャワ地域・スマトラの11-13世紀に確認できる.いずれも数は少ない.特徴としては,材質に関わらず女尊で,一面二臂の坐像であり,高髻を結って宝冠(髪髻冠)を戴き,三面頭飾をつけ垂髪を垂らしている.耳飾・胸飾・臂釧・腕釧・足釧など 華美な装飾品で身を飾り,聖紐を左肩から右脇にかけ,左手の甲を下にした転法輪印を乳房の前で結んでいる.文様の入った裙を着け,その上から膝にかかる帯をつけ,それが大きなリボン状に体の左右後方で結ばれ,帯の端は台座へ垂れる場合が多い.左の台座から伸びる蓮茎を左の肘のあたりで内側から外側へ絡め,完品の作例では左肩の位置で蓮華上(開敷蓮華,または未開敷蓮華)に経典が置かれている.形式は単独では石造像が巨大且つ優品で高貴な人物の説もあり,鋳造像では智拳印を結んだ大日如来像の左隣に坐した一式が確認できることから,インドネシアでは転法輪印(説法印)の般若波羅蜜多菩薩坐像は「妃」的な意味合いがあった可能性が推察される.</p>

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