書誌事項
- タイトル別名
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- Policy decision-making process regarding introduction of local burden to child allowance : Analysis about the Child Allowance Act in 1971
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説明
地方財政制度における地方負担に関する理論を踏まえれば,現金給付の社会保障制度である児童手当は,国がその実施に責任を負い,財源も全て国庫負担となると考えられる。しかしながら,制度創設当初から現在に至るまで,児童手当はその実施事務を市区町村が担い,財源においても地方負担が存在している。 児童手当制度創設時の政策決定過程については,社会保障論の立場からの先行研究が見られ,給付目的や制度の意義等について研究がなされている。しかしながら,地方自治論・地方財政論の立場から,費用負担の在り方について深く研究しているものは見受けられない。児童手当は法律上支給要件が明確に定まっており,地方公共団体には支給に当たっての裁量がないにもかかわらず,令和3年度の地方負担額が5,630億円となるなど児童手当は地方財政に多額の負担を生じさせている。何故,児童手当に地方負担が導入されたのか,その経緯を明らかにすることは,社会保障制度における国と地方の役割分担の在り方を議論するに当たって大きな意義があると考えられる。 このため,本稿では,児童手当について,「何故,市区町村が実施事務を担い,地方負担が存在する制度として創設されることとなったのか。」という問題意識に基づき,児童手当制度が創設され地方負担が導入された1971(昭和46)年の児童手当法の政策決定過程を分析することとした。具体的には,厚生省サイドの公式の記録のみならず,大蔵省・自治省サイドの公式の記録や国会の会議録,雑誌・新聞記事,政策担当者の日記・オーラルヒストリーなど様々な種類の文献を調査することにより,客観的かつ多面的な政策決定過程を浮かび上がらせ,地方負担が導入された経緯を明らかにすることとした。 この結果,児童手当における地方負担は,児童手当の制度創設が長年の政治的課題となり,また,革新自治体を含む数多くの自治体が独自の財源で類似の手当を先行して実施する環境下において,大蔵省・厚生省・自治省の3省が相互に妥協をしつつ合意形成を行っていった結果,導入されたものであることが明らかとなった。今後,児童手当における地方負担の見直しを議論する際には,政治的・行政的妥協の産物ともいえる現行の制度を必ずしも自明の前提とすることなく議論していくべきではないかと考えられる。
収録刊行物
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- 公共政策志林
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公共政策志林 10 122-139, 2022-03-24
法政大学公共政策研究科『公共政策志林』編集委員会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390856506097322496
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- NII書誌ID
- AA12714757
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- HANDLE
- 10114/00025654
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- ISSN
- 21875790
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可