死亡転帰をたどったアパルタミドによる薬剤性過敏症症候群の 1 例

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Drug-induced Hypersensitivity Syndrome Due to Apalutamide with Fatal Outcome
  • シボウ テンキ オ タドッタ アパルタミド ニ ヨル ヤクザイセイ カビンショウ ショウコウグン ノ 1レイ

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抄録

<p>78 歳,男性。当科初診 7 カ月前より,去勢抵抗性前立腺癌に対してアパルタミドの投与を開始され,初診 2 カ月前より,躯幹四肢に浮腫性紅斑が出現した。休薬により褪色したため,減量での投与を再開されたが,皮疹が増悪し,エンザルタミドに変更された。その後も皮疹の改善がなく全身に拡大したため,当科を受診した。略全身に著明な落屑を伴うびまん性の潮紅がみられ,発熱を伴った。皮膚生検の病理組織像では,表皮内へのリンパ球浸潤とケラチノサイトの個細胞壊死がみられ,浸潤するリンパ球の大部分は,CD4 陰性,CD8 陽性であった。以上より,アパルタミドによる紅皮症型薬疹と診断した。プレドニゾロン(PSL)30 mg/日の内服を開始後褪色し,PSL 20 mg/ 日へ減量したが,再燃があり PSL 40 mg/ 日へ増量した。PSL 増量 6 日後,両肺すりガラス陰影が出現した。アパルタミドによる薬剤性間質性肺炎の可能性を考え,メチルプレドニゾロン 1 g/日を 3 日間投与した。その後 PSL 40 mg/ 日へ減量したところ,ニューモシスチス肺炎を合併し,CMV 抗原と EBV-DNA 陽性が判明した。皮疹は改善が乏しく,遷延していた。薬剤性過敏症症候群と診断し,PSL を緩徐に漸減したところ,皮疹は徐々に褪色した。アパルタミドは,有害事象として皮疹の発現率が高く,皮疹は遅発性に出現し,遷延しやすい特徴を有するようである。本症例では,薬剤性過敏症症候群の診断に至り,PSL の緩徐な漸減により皮疹は褪色した。しかし,肺障害のため永眠された。</p>

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 84 (4), 308-311, 2022-08-01

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (8)*注記

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