多発性骨髄腫におけるニッチ研究の新展開

DOI
  • 一井 倫子
    大阪大学大学院医学系研究科 血液・腫瘍内科学

書誌事項

タイトル別名
  • New insights into the bone marrow niche in multiple myeloma revealed by single-cell profiling technologies

抄録

<p>多発性骨髄腫が未だ難治性疾患である原因の一つとして,腫瘍細胞が存在する特異的な微小環境であるニッチが注目されている。骨髄の中で細胞はランダムに散在しているのではなく,腫瘍細胞はその生存に適した場所に存在し,周囲の細胞が骨髄腫細胞の増殖や生存を支持している。また,骨髄腫ニッチには多種多様の免疫細胞が存在しているにもかかわらず,抗腫瘍免疫を抑制する機構により腫瘍の排除が阻止されていることが分かっているが,その詳細は未だ未解明である。本稿では,近年可能となった一細胞レベルでの網羅的解析により明らかになった知見を中心に,骨髄腫ニッチ機構について概説する。多発性骨髄腫ニッチでは,腫瘍細胞により惹起される炎症性環境の中で,腫瘍細胞,免疫細胞,間葉系ストローマ細胞が相互に作用し,骨髄腫の発症や進展,治療抵抗性に関わっている。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 63 (9), 1188-1195, 2022

    一般社団法人 日本血液学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856594643710080
  • DOI
    10.11406/rinketsu.63.1188
  • ISSN
    18820824
    04851439
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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