犬はなんと鳴いている?人間と言語とオノマトペ

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  • What are the animals saying? The fascination behind language and pnomatopoeia

抄録

<p>英語を第二の母語とする帰国生である私は、周りの友人たちが「豚が”oink oink”なんて鳴いているようには聞こえないよ!」と言っているのを聞いて驚いた。何故母語によって他言語オノマトペの再現度への納得度が変わってしまうのだろうか。この疑問を解くこと、さらに翻訳機能やAIの言語発音などの開発や研究に貢献することが最大の目的である。そこで、音を言語に落とし込む時どのような過程と理由で擬音語に違いが生まれるのか。そして育った環境や母語とする言語の違いによって、音の聞こえ方が根本的に違うのか否か。この2つの問いを立て研究を進めた。進めると同時に2つの仮説を立てた。まず、音を言語としてアウトプットする際、母語というフィルターを通さざるを得ないため言語によってどれ程忠実に音を再現できるかが異なることから言語間の擬音語に違いが生じるという事。そして2つ目は、音は母語に関わらず全人類ほぼ同じ聞こえ方をしているが、社会的に定められたオノマトペが存在する音は既に「ふりがな化」されてしまっているという事。これらの仮説に基づいて、2つの検証を行った。1つ目に、辞書で定義されているオノマトペとされていないもののオーディオデータを各5個ずつ用意し、日本語話者と英語話者に聞いてもらい、母語で文字として書き出してもらう。両者を発音記号に落とし込み、母語内のばらつきや言語間の違いをみる。2つ目に、定義されていない擬音語を日本語からの言語的距離が比較的近い2カ国語で発音した録音を用意し、どちらのほうがより実際の音に忠実に聞こえるかを検証する。この際、用意する2言語は音素数に大きな差があるものを選ぶ。英語話者へも同様の検証を行った。結果、擬音語の違いは音の聞こえ方の差からではなく言語の再現力から生じるものであり、音の「ふりがな化」とは根深く存在するものであることが分かった。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856616523792512
  • DOI
    10.14907/primate.38.0_87
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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