沿岸域管理の視点から見た厚岸青年漁民の植樹活動

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タイトル別名
  • Akkeshi fishermen’s forestation project: from the view point of coastal zone management
  • エンガンイキ カンリ ノ シテン カラ ミタ アッケシ セイネン ギョミン ノ ショクジュ カツドウ

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抄録

<p>1980年代前半カキ斃死をきっかけに,生産環境への危機感を持った厚岸の青年漁業者たちが得た「木を植えて昔の環境に戻そう」という構想は,1990年代に分収林条例制定という町の支援を受けて具体化した。緑水会活動の特徴は,(1)カキ斃死を機に青年漁業者らがみずから調査をおこない沿岸域環境の劣化を認識し,植樹を構想したこと,(2)当初から町が分収林条例制定・契約によって緑水会を森林施策のパートナーと位置づけて活動を支援したこと,(3)植樹活動が首都園の団体D社の支持を得て,生産物流通をも含む協働へと展開したことにある。内発的動機と制度的支援が植樹活動が始まり継続しえた要因であり,生産物流通を含む外部団体との協働は活動の継続を励ましている。</p><p>一方,行政の調査研究機関が厚岸湖及びその周辺環境で科学的調査研究をおこなっているにもかかわらず,科学的知見を活用しながら効率性・有効性を改善できるしくみがないことが,緑水会活動の弱点である。これは関係者間の連携が不十分なことに起因する。漁民の植樹活動を沿岸域環境保全へと結びつけるためには,町とのパートナーシップの確立に加え,公的機関・地域共同体・事業者などあらゆる関係者の参加を促し連携を進めることがもっとも必要である。</p>

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