異なる経過をたどった視床下部過誤腫の3例

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  • Three pediatric cases of hypothalamic hamartoma presenting different clinical courses

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抄録

<p> 視床下部過誤腫は視床下部に発生する非腫瘍性の異所性過形成である.思春期早発症や笑い発作を含むてんかん発作,知的発達障害などの症状を呈する.そのため,患者に応じた治療介入が重要である.我々は臨床症状の異なる視床下部過誤腫症例の3例について,異なる治療介入を選択していずれも良好な経過が得られているので報告する.症例1は笑い発作を主訴とした4歳男児例である.診断後4か月で定位温熱凝固術を施行し,てんかん発作は消失した.知的障害は認めず,術後顕在化した思春期早発症状に対してGnRHアナログ療法を開始した.症例2は思春期早発症を呈してんかん発作を認めない3歳女児である.GnRHアナログ治療により思春期早発症状の進行は抑えられている.症例3は思春期早発症を考慮して行った負荷試験では診断基準を満たさなかった9歳女児である.無治療で経過観察したところ,てんかん発作や知的障害を認めず目標身長に達した.視床下部過誤腫はMRIによる形態学的特徴が臨床経過の推測に有用であり,各症例に適した治療介入の選択が重要である.</p>

収録刊行物

  • 脳と発達

    脳と発達 54 (5), 343-347, 2022

    一般社団法人 日本小児神経学会

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