摂食障害における脳画像研究の動向

DOI
  • 鎌下 莉緒
    千葉大学子どものこころの発達教育研究センター 大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科
  • 平野 好幸
    千葉大学子どものこころの発達教育研究センター 大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科

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抄録

<p>摂食障害では痩せ願望や体重体型への過度なこだわり,ボディイメージの障害といった症状が見られ,「神経性やせ症(Anorexia nervosa: AN)」と「神経性過食症(Bulimia nervosa: BN)」,「過食性障害(Binge-eating disorder: BED)という三つの病型に大別される.有意な低体重が見られるANでは大脳全体の皮質厚および海馬・視床をはじめとした様々な領域の皮質体積が減少することが判明している.また,過食が見られるBNでは報酬系異常により腹側線条体や海馬で健常者とは異なる活性パターンを示すことが脳イメージング研究で明らかにされている.これまで思春期での発症が主とされていた摂食障害だが,近年,思春期以前の低年齢児童における発症が報告されており,摂食障害は「こどもの問題」と捉えられる.死亡率が約5%と高いことやコロナ禍において患者数が急増したと報告されていることから,摂食障害研究は喫緊の課題であると言える.本稿では,摂食障害の病態解明のための脳形態や脳機能画像研究を紹介する.</p>

収録刊行物

  • 子どものこころと脳の発達

    子どものこころと脳の発達 13 (1), 38-44, 2022

    大阪大学大学院 大阪大学・金沢大学・浜松医科大学・千葉大学・福井大学連合小児発達学研究科

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