プラットフォームビジネスの経済学的分析 : デジタルエコシステム下の無料動画配信サービスを例として

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抄録

21世紀初頭、ICT産業は成長産業のひとつである。このICTは、他の産業の効率化、付加価値化にも大いに寄与している。このICT産業は、デジタルエコシステムであるといえる。様々な層を成しながら、その中のアクティビティは、競争と共創を繰り返しながら、全体で成長・発展していくのである。本論文は、その経済環境下でのプラットフォームビジネスに着目する。とくに、もっとも発展著しい無料の動画配信サービス(ビジネス)の行動をミクロ経済学における市場論を中心として論じる。より具体的には、この分野の過半の市場をもつYouTubeを事例にとり、その企業行動を解明する。ここでは、3つの層で、デジタルエコシステムを考える。第一層は、通信・携帯市場(ビジネス)層である。ここは、自然独占または費用逓減産業として捉え、その料金の低下の意義を論じる。第二層は、YouTubeのような無料動画配信ビジネスの層である。このなかで、YouTubeは他の類似の企業と競争している。ただし、市場シェアが圧倒的に大きいので、ここでは独占市場のフレームを援用した。そのうえで、プラットフォームビジネスであり、ネットワークビジネスであるので、2つの外部性を加味して考察をした。最後の層が、Youtuber層である。Youtuberがコンテンツを制作し、投稿するのであるが、その再生数やチャンネル登録数などのいわば露出量で、広告収入の一部が、Youtuberに還元されるのである。ここでは、YouTubeとYouTuberは、いわば、共存共栄の関係となっている。一方、同じようなカテゴリーのコンテンツを配信するYouTuberとは競合関係にあるといえる。しかし、YouTuber同士が連携することもあり、双方ともがメリットを得る共存関係も存在している。全体としては、層内は競争しているとともに、層間は共創しているのであり、それがデジタルエコシステムとしての発展につながっていると結論づけた。

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