心の「屏風の虎」をとらえるための精神分析からの試論 : ワークスルーにより消える名付けられた異形のもの

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  • A Psychological Essay on Catching “Paper Tigers" in the Mind : Naming Our Goblins through Therapy Can Dissolve Them

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説明

本稿では,精神分析的心理療法を学び始める初心者セラピストが,クライエントの心的世界とつながることの重要性と難しさについて,「混沌」と「地平の融合」の考えを引きながら最初に論じた。またそのクライエントの真の苦悩の部分は,隠蔽されて容易に意識化されにくいもので,一般常識や社会規範から疎外された異境にあるものである。セラピストとの間にできた関係性という土壌で,その葛藤が表現され理解され,セラピストがそれを包んで名付けて意味づけていくこと,つまり精神分析的心理療法過程の大切さを述べた。種々の苦悩や葛藤をワークスルーする過程で,自分のこれまで生きてきた過去の記憶や体験の中に,疎外されてきた本質的な自分が布置されて新しい自分へ統合し,変容していくものと思われる。その精神分析的心理療法の過程を,昔話に登場する異形のものが,名づけられると消えてしまう物語と関連させて論じた。

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