日本総合健診医学会 第50回大会・シンポジウム5 子宮頸がん検診の現状と今後─自己採取HPV 検査の可能性と課題─ 子宮頸がん排除を目指した検診方法の選択(細胞診単独?HPV単独?HPV併用?自己採取HPV?)

書誌事項

タイトル別名
  • Selecting Screening Methods to Eliminate Cervical Cancer (Cytology alone, HPV primary testing, Cytology/HPV co-testing, Self-collected HPV test)

抄録

<p> 欧米は、HPVワクチン接種率70%、子宮頸がん検診受診率70%に向上した結果、前がん病変有病率は0.4%に、がん罹患率は約7.0に激減し、子宮頸がん排除(罹患率4)間近である。わが国は、検診受診率43%、HPVワクチン接種率1%に低迷していたため、前がん病変有病率2.0%、がん罹患率14.7で、増加し続けている。今後10年間はHPVワクチン効果が期待できないため、検診だけで子宮頸がん排除を目指さなくてはならない。そのためには、前がん病変が多発する25~45歳の受診率を85%以上に上げ、しかも前がん病変を見逃さない検診手法を選択しなくてはならない。検診手法には、従来からの細胞診単独検診、費用対効果の高いHPV検査単独検診、高精度の細胞診・HPV検査併用検診、未受診者対策としての自己採取HPV検査がある。今回、日本の実情にあった検診手法を選択するにあたり、見逃し率と罹患率減少効果の観点から、実体験を交えて検討した。1)細胞診単独検診;我が国における前がん病変検出感度は85%、特異度95%。前がん病変有病率は2.0%なので、推計見逃し数は検診10万人中300。検診受診率80%が維持できれば推計罹患率は10までは減少できる。2)HPV検査単独検診;感度は95%、特異度91%。推計見逃し数は100。罹患率8までは減少可能。3)細胞診・HPV検査併用検診;感度は99%、特異度90%。推計見逃し数は20。罹患率は5まで減少可能。実際に、出雲市の罹患率を5にすることができた(HPV併用検診歴12年、若年受診率75%)。4)自己採取HPV検査;出雲市で行った行政研究の結果、未受診者6,270人の30%が本検査を受診し、前がん病変の検出率は10.8%で全国平均の18倍だった。施行した医師採取HPV検査との陽性一致率は84%、陰性一致率は85%であった。【結論】ワクチンと検診の相乗効果によって前がん病変有病率とがん罹患率が欧米並みに減少するまでは細胞診・HPV検査併用検診を選択すべき。若年者の未受診者対策として、郵送式自己採取HPV検査は非常に有効である。</p>

収録刊行物

  • 総合健診

    総合健診 49 (5), 535-543, 2022-09-10

    一般社団法人 日本総合健診医学会

参考文献 (9)*注記

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