2021年秋季北海道太平洋沿岸における有害赤潮藻<i>Karenia selliformis</i>の水平分布および植物プランクトンの群集構造

  • 山口 篤
    北海道大学大学院水産科学研究院 北海道大学北極域研究センター
  • 濱尾 優介
    北海道大学大学院水産科学研究院
  • 松野 孝平
    北海道大学大学院水産科学研究院 北海道大学北極域研究センター
  • 飯田 高大
    北海道大学水産学部附属練習船うしお丸

書誌事項

タイトル別名
  • Horizontal distribution of harmful red-tide <i>Karenia selliformis</i> and phytoplankton community along the Pacific coast of Hokkaido in autumn 2021

抄録

<p>2021年10月6–12日に,北海道太平洋沿岸の32点にて表面採水を行い,植物プランクトン群集を観察した.植物プランクトン群集は4つに分かれ,細胞数密度は38–9033 cells mL−1の範囲にあり,Karenia selliformisが卓越した群集で高かった.クロロフィルaK. selliformisの細胞数密度の間には有意な正の関係が観察され,その細胞内クロロフィル含有量は37 pg cell−1と見積もられた.環境要因(水温,塩分,栄養塩[NO3, NO2, NH4, PO4, SiO2])とK. selliformisの細胞数密度の関係を一般化線型モデルにより解析したところ,PO4濃度とのみ有意な正の関係が見られた.北海道太平洋沿岸における赤潮発生要因として,例年より1–3°C高い水温の水温躍層発達条件下で,表層の栄養塩が枯渇したことが示唆された.しかしK. selliformisは移動能力があるため,夜間に下層で栄養塩を取得する日周鉛直移動を行う.K. selliformisが昼間に表層で光合成を行うことにより優占した水塊に,その後密度躍層の崩壊が生じて鉛直混合によって栄養塩が供給され,大規模な有害赤潮が発生したことが考えられた.</p>

収録刊行物

  • 水産海洋研究

    水産海洋研究 86 (2), 41-49, 2022-05-25

    一般社団法人 水産海洋学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390856904109801472
  • DOI
    10.34423/jsfo.86.2_41
  • ISSN
    24352888
    09161562
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • KAKEN
    • IRDB
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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