-
- 西村 幸司
- 帝京大学医学部附属溝口病院耳鼻咽喉科
この論文をさがす
抄録
<p> 隠れ難聴 (hidden hearing loss) は, 聴覚閾値の上昇を伴わない騒音下での聞き取り障害や無難聴性耳鳴を特徴とする. 主な病態は蝸牛内有毛細胞と蝸牛神経のシナプス障害 (cochlear synaptopathy) であるが, 蝸牛神経の脱髄や軽度の蝸牛有毛細胞障害を含む複数の病態が関与する. 本総説では第一に, 隠れ難聴の疾患概念を支持する, ラセン神経節の一次性障害や蝸牛神経部分切断の聴覚閾値に及ぼす影響を検証した基礎研究を紹介する. 第二に, 加齢, 音響暴露動物の蝸牛組織解析による cochlear synaptopathy と ABRⅠ 波振幅に代表される聴覚電気生理パラメーターの相関について述べる. 第三に蝸牛神経の電気生理学的サブタイプと分子細胞生物学的知見の関連について述べる. 第四にヒトにおける隠れ難聴の診断開発に向けた臨床研究を紹介する. 第五に cochlear synaptopathy および neuropathy の治療を目指した基礎研究について紹介する.</p>
収録刊行物
-
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
-
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 125 (10), 1431-1436, 2022-10-20
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390856970589486336
-
- ISSN
- 24365866
- 24365793
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- Crossref
- KAKEN
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可