糖尿病患者における足部胼胝の皮膚温度の上昇と炎症マーカーとの関係

DOI
  • 鶴岡 かほり
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/ 創傷看護学 山梨大学大学院総合研究部
  • 大江 真琴
    金沢大学医薬保健研究域保健学系
  • 峰松 健夫
    東京大学大学院医学系研究科社会連携講座スキンケアサイエンス 東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター
  • 冨田 早苗
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/ 創傷看護学
  • 大橋 優美子
    東京大学医学部附属病院看護部
  • 下嶋 祐子
    JCHO 東京新宿メディカルセンター
  • 秦 斉
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/ 創傷看護学
  • 安部 正敏
    札幌皮膚科クリニック
  • 山内 敏正
    東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科
  • 真田 弘美
    東京大学大学院医学系研究科健康科学・看護学専攻老年看護学/ 創傷看護学 東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Association between elevated skin temperature of the foot callus and inflammatory marker in people with diabetes

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抄録

胼胝は外力負荷に伴う局所的角質肥厚であり、糖尿病足潰瘍のリスク要因である。胼胝の炎症は、糖尿病潰瘍の前段階に起こるサインである。多くの研究が皮膚炎症のサインとして足底皮膚温度の上昇をモニタリングすることが糖尿病足潰瘍の予防に有用であると報告している。しかし胼胝部における皮膚温度の上昇が実際に炎症を示しているかを検証した研究はない。本研究の目的は、糖尿病患者を対象に足部胼胝の皮膚温度の上昇と炎症マーカーとの関係を検討することである。足部胼胝を有する糖尿病患者30 名を対象に横断研究を行った。胼胝の炎症はスキンブロッティングによる炎症マーカー(TNFα)の検出で同定し、サーモグラフィで観察した皮膚温度の上昇と胼胝の炎症との関係をフィッシャーの正確確率検定で分析した。TNFα陽性率と胼胝部の皮膚温度上昇は有意に関連していた(p =0.009)。サーモグラフィによって同定された皮膚温度上昇による胼胝の炎症の感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率は0.67、0.83、0.73、0.79 であった。本知見はサーモグラフィ上の胼胝部の皮膚温度上昇は炎症を示すこと、サーモグラフィを用いて胼胝部位の皮膚温度の上昇をスクリーニングし、早期介入による糖尿病足潰瘍の予防に有効である可能性を示唆している。

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