マメ科アコウマイハギ連<i>Desmodiastrum</i> の新たな分類学的位置

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  • New Systematic Position of <i>Desmodiastrum</i> (<i>Leguminosae</i> Tribe <i>Desmodieae</i>)
  • New Systematic Position of Desmodiastrum (Leguminosae Tribe Desmodieae)

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抄録

<p>Desmodiastrum はマメ科アコウマイハギ連の1 属で4 種あり,インド(4 種),ミャンマー(1 種),ジャワ島(1 種)に分布する.これらの種はササハギ属Alysicarpus あるいは(旧)ヌスビトハギ属Desmodium として記載されたが,Prain (1897) がAlysicarpus Desmodiastrum 亜属にまとめ,更にPramanik and Thothathri (1986) がこの亜属を独立属Desmodiastrum とした.しかし,今日Desmodiastrum Alysicarpus の異名あるいは独立属とされ,分類学上の位置が定まっていない.本研究では葉緑体DNA・核DNA を用いた分子系統解析による推測からDesmodiastrum はマイハギ属Codariocalyx, Eleiotis およびヒメノハギ属Leptodesmia に近縁であり,Alysicarpusや現在のDesmodium(ほぼ全部がアメリカ大 陸に原産するアコウマイハギ属)とは遠い類縁関係にあ ることが明らかとなった.これらの4 属を比較検討した結果,葉が2 型(単葉と3 小葉)あるいは3 型(単葉,3 小葉,1 と3 小葉の混在形)で,竜骨弁が鎌形で弁部の 基部に翼弁に接着する小型の突起があることが共通の形態的特徴であった.しかし,花粉型ではDesmodiastrum は表面模様が明瞭ないぼ状あるいは皺状の三合流溝孔粒 3-syncolporateであり,一方Codariocalyx, Eleiotisおよび Leptodesmiaは表面模様が不明瞭な三溝孔粒3-colporate であった.Desmodiastrumの花粉型はこの近縁属内はもとよりアコウマイハギ連の中でも特異であり,分子系統 解析の結果と併せてDesmodiastrumはササハギ属とは別個の独立属であると考えられる.</p>

収録刊行物

  • 植物研究雑誌

    植物研究雑誌 97 (3), 131-144, 2022-06-20

    植物研究雑誌編集委員会

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