10代で発症し経皮的肝門部肝生検で診断し得たIgG4関連硬化性胆管炎の1例

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  • IgG4-related sclerosing cholangitis in an adolescent patient diagnosed by percutaneous hilar liver biopsy

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抄録

症例は16歳男性で,中学入学時の学校健診で肝障害を指摘されていた.中学卒業時に近医小児科での血液検査でAST 54U/l,ALT 146U/l,ALP 904U/l,LAP 327U/lと肝胆道系酵素上昇あり当科に紹介された.初診時ウイルス肝炎マーカーはすべて陰性で,IgG 2,292mg/dl,IgG4 141mg/dl,抗核抗体320倍だった.腹部超音波検査,MRCPで肝門部中心の肝外,肝内胆管狭窄・拡張を認めた.診断目的で狭窄・拡張した肝門部肝内胆管付近の経皮的肝生検を行い,病理所見では胆管周囲のリンパ球及び形質細胞浸潤,及び花筵状線維化を認めた.この線維化領域でIgG4陽性細胞を多数認めた.IgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の確定診断でUDCA 600mgを先行し,PSL 40mg/body(0.6mg/kg/body)で免疫抑制療法を開始した.PSL開始4週目頃から肝胆道系酵素は改善傾向となり,2か月経過した時点で正常化した.若年男子に発症した胆管狭窄を伴う肝障害では一般に原発性硬化性胆管炎(PSC)を疑うが,本症例では血清IgG4高値であり肝門部に限局した胆管狭窄であったためIgG4-SCを疑った.本症例の診断にはERCP下の胆管生検に比較し組織量が多く採取可能である経皮的肝門部肝生検で得た病理組織所見がIgG4-SCの確定診断に重要であった.

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