アブミ骨周囲に硬化病変を生じた顔面神経減荷術後症例

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  • 野内 舞
    東京都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科 三井記念病院耳鼻咽喉科
  • 木下 淳
    三井記念病院耳鼻咽喉科 東京大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 井上 雄太
    三井記念病院耳鼻咽喉科 耳鼻咽喉科 井上医院
  • 西村 信一
    三井記念病院耳鼻咽喉科
  • 奥野 妙子
    三井記念病院耳鼻咽喉科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of an osseous lesion around the stapes following facial nerve decompression
  • アブミ ホネ シュウイ ニ コウカ ビョウヘン オ ショウジタ ガンメン シンケイ ゲン カ ジュツゴ ショウレイ

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抄録

<p>顔面神経減荷術後,伝音難聴を生じた症例を経験した.症例は46歳男性.右Bell麻痺に対し,経乳突法で顔面神経減荷術が施行された.術後平均聴力レベル約30 dBの伝音難聴を認め,6か月後に難聴改善目的で再手術が行われたが難聴は改善しなかった.難聴改善を希望して当院受診,術後約13か月後に手術を行った.顔面神経減荷術時,キヌタ骨のrepositionが行われているが連鎖に異常はみられず,伝音難聴の原因は,岬角からアブミ骨を埋めるように存在する骨性の板状組織ではないかと判断した.硬化病変をレーザーで蒸散し固着を解除するとアブミ骨の可動性は改善し,聴力は8000 Hz以外のすべての音域において改善を認めた.この骨性病変は顔面神経減荷術の際,骨削開により発生した骨粉が鼓室に残存し,伝音連鎖再建で使用したフィブリン糊との相乗効果で硬化したものと考えられた.顔面神経減荷術時,十分な洗浄を行い骨粉の残存がないことを確認する必要があると考えられる.</p>

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