外来慢性閉塞性肺疾患患者のLife-space Assessment に関係する因子

DOI
  • 末永 拓也
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 松本 雄次
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 宮副 孝茂
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 財津 和希
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 髙塚 梨沙
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 久保川 成美
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 峰松 宏弥
    敬天堂 古賀病院 リハビリテーション部 NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット
  • 釜﨑 大志郎
    西九州大学 リハビリテーション学部
  • 大田尾 浩
    西九州大学 リハビリテーション学部
  • 林 真一郎
    NPO 法人 はがくれ呼吸ケアネット

抄録

<p>【はじめに】</p><p>COPD 患者の活動範囲の狭小化は,社会的孤立を招き,ひいては運動機能の低下に波及すると報告されている。そこで,本研究は外来COPD 患者の活動範囲をLSA で評価し,LSA に関係する因子を検討することとした。本研究の結果を明らかにすることで,COPD 患者の生活活動範囲を拡大させるリハビリテーションの一助になると考える。</p><p>【方法】</p><p>本研究は,はがくれ呼吸ケアネットに登録されている多施設共同の後方視的横断研究である。対象は,病状安定期の外来COPD 患者とした。選定基準は,自力で外来通院が可能な患者,および歩行が自立している者とした。活動範囲はLSA(life-space assessment)で評価した。また,呼吸機能は肺活量,努力性肺活量,1 秒量,%1 秒量,1 秒率,MIP (maximal inspiratory pressure), MEP(maximal expiratory pressure),GOLD(global initiative for chronic obstructive lung disease)を評価した。身体機能は,握力,膝伸展筋力,漸増シャトルウォーキングテスト(ISWT:incremental shuttle walking test),TUG(timed up and go test)を評価した。先行研究に従って,LSA の得点が56 点以下の者を活動狭小群,57 点以上の者を活動良好群とした。まず,各測定項目を2 群間で比較し傾向を確認した。次に,従属変数を活動狭小群,活動良好群,独立変数をMIP,MEP,膝伸展筋力,ISWT,TUG とした2 項ロジスティック回帰分析を行った。Model 2では共変量と考えられる性別,年齢,GOLD で調整を行った。</p><p>【結果】</p><p>対象は,病状安定期の外来COPD 患者58 名( 平均年齢75 ± 9 歳) であった。共変量で調整した2 項ロジスティック回帰分析の結果,LSA と有意な関係性を認めた因子はISWT[OR:1.03(95%CI:1.00-1.05)]であった。</p><p>【考察】</p><p>本研究によって,外来COPD 患者のLSA とISWT の有意な関係が明らかとなった。本研究のISWT は,活動狭小群150.0 ± 104.4m,活動良好群333.0 ± 170.0m であった。ISWT は運動耐用能を捉える指標である。COPD 患者は運動耐容能の低下によって,連続歩行距離の短縮を招き,活動範囲の狭小化が起きていると推察した。実際,COPD 患者のISWT は身体活動量と中等度の相関があると報告されており,本研究の結果を支持する。また,COPD 患者の運動耐用能は,移動能力に影響することが報告されている。運動耐容能が低下することによって,移動能力が低下し,活動範囲の狭小化を招いている可能性がある。本研究結果により,COPD 患者の生活範囲の狭小化には運動耐容能が関係していることが明らかになった。しかし,本研究は横断研究であり,因果関係には言及できない。今後はサンプル数を増やし,縦断研究を実施する必要がある。</p><p>【結論】</p><p>外来COPD 患者の活動範囲の拡大には,運動耐容能へのアプローチが必要である可能性が示された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本研究はヘルシンキ宣言に基づき,「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」を遵守して実施した。対象者には本研究の内容を説明し,理解を得たうえで参加を求めた。本研究の参加は自由意志であり,対象にならなくても不利益にならないことを説明した。対象者には同意した後でも同意の撤回が行えることまで説明を行った。</p>

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390857202734381568
  • DOI
    10.32298/kyushupt.2022.0_18
  • ISSN
    24343889
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ