大動脈弁狭窄症に対して外科的大動脈弁置換術を契機に診断したアルカプトン尿症の1例

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  • Aortic Stenosis with Alkaptonuria

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抄録

<p>症例は72歳女性,心雑音を指摘され,大動脈弁狭窄症と診断された.中等症のため経過観察されていたが重症ASに進行し,労作時呼吸苦も出現してきたため,手術適応と判断され当科紹介となった.手術は外科的大動脈弁置換術を施行した.術中大動脈を切開すると,大動脈弁弁尖,大動脈内膜,僧帽弁前尖左室側の石灰化に一致するように黒色色素沈着を認めた.生体弁INSPIRIS (Edwards Lifesciences LLC, Irvine, USA)21 mmを留置し,手術は問題なく終了した.手術所見より先天性疾患や結合組織疾患を疑い,病歴,身体所見を再度聴取しなおし,文献検索を行った結果アルカプトン尿症が最も疑われた.確定診断のため術後に尿中有機酸スクリーニング検査を行い,確定診断に至った.アルカプトン尿症の発生率は25万から100万人に1人と推定されおり,きわめて稀な疾患である.チロシン代謝経路のうちホモゲンチジン酸(HGA)をマレイルアセト酢酸へと代謝するHGA-1,2- ジオキシゲナーゼが遺伝的に欠損することにより活性が低下し,HGAが体内に蓄積し,組織に沈着する常染色体潜性遺伝の遺伝形式を示す先天性代謝異常症の1つである.文献的考察をふまえてここに報告する.</p>

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