遠隔人工内耳プログラミング―現状と展望―

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抄録

<p> 新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 拡大による社会変化や規制緩和の相乗効果により, 遠隔医療の受給拡大が趨勢となっている. 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会からも「オンライン診療の案内」が示され, そこに適した疾患や症状として人工内耳装用難聴者 (児) のマッピング・訓練が挙げられている. もとより人工内耳装用者にとって, 最適な聞こえを得るために人工内耳プログラミング (マッピング) が重要であるが, 専門職種や専門医療機関は限られており, 遠方から受診することが装用者やその家族にとって身体的経済的負担となっており, 北海道では特に顕著である. 遠方に限らずとも, 装用者あるいは保護者の勤労や通学などもあり, 受診が制限されることは少なくない. 当科では2018年より遠隔人工内耳プログラミング (いわゆる遠隔マッピング) に取り組んできている. 経験蓄積に加えてマッピング用ソフトウェアのアップデートも手伝い, 対面式と遜色ないマッピングを遠隔で実施できるようになっており現在このシステムは医療者, 装用者双方にとって不可欠なものとなっている. 乳幼児などに対しても, 遠隔と対面の両者を補完的に組み合わせることで, これまで以上にきめ細やかなフォローアップが可能となっている. これまで懸案だった医療費算定についても, 保険収載に向けてその道筋がつきつつある. 今後の技術進歩によって, 装用者や保護者が自宅などで個別の最適化を簡便にできるようになることが予想され, ノンユーザーや部分的ユーザーの減少にも期待ができる. 遠隔マッピングに聴覚関連検査や評価, 言語訓練なども付加していくことで, 言語聴覚士の雇用機会増や対象患者の拡大にも繋げられる可能性がある.</p>

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