抄録
日本語母語話者(JNS)と中国人日本語学習者(CJL)に絵に描かれたストーリーを語ってもらった談話をデータとして、ストーリーに登場する人物・事物Xを描写する際の表現の選択、具体的には、「Xのような」「Xかな」などの名詞+不確実性を伝達する表現の使用傾向について探った。その結果、解釈が自明のもの、数多くの解釈が生まれ得るものを両極として、その中間的な登場人物・事物に関しては、JNSは不確実性の表現を多く用いて表現する傾向が見られた。一方で、CJLは比較的不確実性の表現を使用せず語りを進行していた。さらに、この結果を踏まえて、日本語母語話者(JNS)と中国語母語話者(CNS)が絵に描かれたストーリーを語った別の談話データを用いて、CJLの語りの特徴が母語である中国語の影響を受けているかをみたところ、CNSは全く不確実性の表現を使用していなかった。ここから、CJLの語りが母語の特徴を受けていること、また、日本語能力の向上に伴い、語りにおける不確実性の表現使用という行為を習得していることが示唆された。
収録刊行物
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- 名古屋大学日本語・日本文化論集
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名古屋大学日本語・日本文化論集 27 31-48, 2020-03-31
名古屋大学国際言語センター
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390857280105411968
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- NII論文ID
- 120006824901
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- HANDLE
- 2237/00032065
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- ISSN
- 1348804X
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可