急激な変化を胸腔鏡検査にて確認した石綿曝露歴のある胸膜原発血管肉腫の1例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Primary Pleural Angiosarcoma in an Asbestos-exposed Patient Showing Rapid Changes on Thoracoscopy

この論文をさがす

抄録

<p>背景.胸膜原発の血管肉腫は非常にまれな疾患であり,診断するのに難渋する症例が多い.症例.73歳の石綿曝露歴のある男性.検診にて胸水を指摘され当院を受診した.胸腔鏡にて白色の隆起性病変と胸膜肥厚を認めたが組織学的に診断を確定できず,経過観察とした.4か月後,胸水が急激に貯留したために2回目の胸腔鏡を行い,全周性の出血を伴う胸膜肥厚と赤色の融合した多発結節病変が出現した.生検組織の免疫染色でCD31陽性の腫瘍細胞を認め,血管肉腫と診断した.外来にて化学療法を行うも奏効せず,診断から6か月後に永眠された.結論.急激な胸膜病変の変化を胸腔鏡下に観察し得た胸膜原発の血管肉腫を経験した.石綿曝露例の診断にあたっては,石綿と関連の低い疾患を鑑別から落とさないことが重要と考えられた.また,本疾患を早期病変から疑うのは困難で,診断未確定例では早めの外科的生検を検討する必要がある.</p>

収録刊行物

  • 気管支学

    気管支学 44 (6), 426-431, 2022-11-25

    特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ