熱中症を契機に頚椎症性脊髄症が顕在化した1例

  • 松本 洋明
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 花山 寛朗
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 松本 淳志
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 友金 祐介
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 南 浩昭
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 増田 敦
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 山浦 生也
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 吉田 泰久
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経外科
  • 平田 温
    榮昌会 吉田病院 附属脳血管研究所 脳神経内科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of cervical spondylotic myelopathy being triggered by heat stroke
  • ネッチュウショウ オ ケイキ ニ ケイツイショウセイ セキズイショウ ガ ケンザイカ シタ 1レイ

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抄録

<p> 近年,本邦においては夏場の気温が上昇し,熱中症の危険性が高くなっている.今回我々は,炎天下での作業後に軽度の意識障害と一過性の両下肢の脱力を呈し,当初熱中症として治療を行った頚椎症性脊髄症の1例を経験したので報告する.症例は,83歳の男性.早朝から炎天下で庭仕事を行った後に,両下肢の脱力を呈し,歩行できないとのことで当院に救急搬送された.当初脳卒中を疑い,頭部MRIを施行したが,明らかな異常はなく,臨床所見より熱中症と診断し,入院のうえ輸液を中心に治療を行った.翌日になって歩行させると頚部の位置によって失調が生じて歩行できない状態であった.再度,頭部MRIを行ったが,異常はなく,頚椎MRIを行うと,C3/4で黄色靱帯の肥厚による頚髄圧迫所見が認められた.頚椎フィラデルフィアカラーを装着して頚椎の位置を適切に保つと失調が生じることなく歩行できるため,頚椎症性脊髄症による歩行障害と診断し,C3‒4の椎弓切除を行った.術後は,頚部の位置に関わらず歩行可能となった.本症例は,熱中症を契機に頚椎症性脊髄症が顕在化したものと考えられた.熱中症は,神経症状を呈することがあり,脳卒中との鑑別は,臨床的に重要である.脳卒中が否定されても,神経症状が持続する場合は,適宜精査を行う必要があると考えられた.</p>

収録刊行物

  • NEUROSURGICAL EMERGENCY

    NEUROSURGICAL EMERGENCY 27 (2), 143-147, 2022

    特定非営利活動法人 日本脳神経外科救急学会 Neurosurgical Emergency

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