当科における好酸球性副鼻腔炎に対するdupilumabの治療効果に関する検討

  • 臼倉 典宏
    日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽喉科
  • 松根 彰志
    日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽喉科
  • 春名 良洋
    日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽喉科
  • 若山 望
    日本医科大学武蔵小杉病院耳鼻咽喉科 そしがや駅前耳鼻咽喉科クリニック
  • 大久保 公裕
    日本医科大学付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • Effects of Dupilumab on Eosinophilic Chronic Rhinosinusitis

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説明

<p>【背景】難治性の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis with nasal polyps; CRSwNP)に対する従来の治療は,内視鏡下鼻副鼻腔手術や全身性ステロイド薬の使用が基本であった。しかし,2020年3月から手術及びステロイド治療で制御不十分なCRSwNPに対して,生物学的製剤である抗IL-4/13受容体抗体のdupilumab(デュピクセント®)が本邦においても保険適用となり,治療体系に大きな影響を与えつつある。今回,当科におけるdupilumabの治療効果に関して比較検討を行った。</p><p>【方法】2020年8月から12月の期間で,当科にてdupilumabの使用を開始した好酸球性副鼻腔炎の診断基準を満たすCRSwNP症例11例(中央値56歳,範囲35–74歳)に対して,前向き観察研究を施行した。評価指標はSNOT-22,鼻茸スコア,prednisolone使用量,末梢血中の総IgE(IU/mL),好酸球比率(%),vascular endothelial growth factor(VEGF),periostin,IL-4,IL-13,IL-33である。</p><p>【結果】SNOT-22の総スコアは投与後22 or 24週時点で有意な改善を認めた(p<0.01)。鼻茸スコアは投与後2週時点で有意な改善を認めた(p<0.01)。dupilumab投与後,prednisoloneの内服は全例で中止できた。投与後平均13.3週時点で,末梢血総IgEは有意な低下を認めた(p<0.01)が,末梢血好酸球比率は全例で有意な上昇を認めた(p<0.01)。また,末梢血VEGFは,投与後有意な低下を認めた(n=9, p<0.05)。一方で,末梢血periostinとIL-4は,投与後有意な変化を認めなかった(periostin; n=10, p>0.1, IL-4; n=11, p>0.1)。IL-13,IL-33は測定感度以下で検出されなかった。</p><p>【結語】dupilumab投与後,比較的早期の段階から臨床成績の改善を認めた。また,末梢血中の総IgEや好酸球比率,VEGFは開始時と比べて投与後有意な変化を認めた。</p>

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