スマートフォンアプリを活用した新型コロナウイルス感染症におけるワクチン接種及び罹患後症状の情報収集を行う研究への取り組み

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抄録

<p>【背景・目的】</p><p> 新型コロナウイルス感染症流行下において、ワクチン接種の安全性や罹患後症状(いわゆる後遺症)においては、様々な情報が各種メディア(TV、ネットニュース、SNS等)に溢れている。正しい情報にアクセスすることは専門知識を持たない一般の方においては難しく、誤った情報に触れてしまい、正しい判断を下せない、実態を知らないケースは少なくない。また、コロナワクチン接種に関する情報に関しては、予防接種法に基づく医療機関からの副反応疑い報告に関しては集積され、その情報も公開されているが、医療機関に報告されないようなワクチン接種者からの自発的な報告が収集される仕組みはわが国には存在しない。</p><p> 米国においては、ワクチン接種後のヘルスチェック及びワクチンの安全性を監視するための手段として、米国疾病管理予防センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)により、V-safeというアプリケーションが開発され、ワクチン接種者による自発的な報告が収集される仕組みが設けられている。</p><p> そこで、大阪大学医学部附属病院では、株式会社Buzzreachが開発中であったCOVID-19ワクチン接種者追跡・安全性情報収集アプリ「VOICE」に注目し、共同研究契約を締結し、ワクチン接種者と新型コロナワクチンウイルス感染症の後遺症の方を対象として、アプリケーションを介して、情報集積する仕組みを構築することとした。</p><p>【方法】</p><p> 2022年1月に共同研究契約を締結し、具体的な研究プロジェクトの立ち上げを開始した。各研究プロトコル作成を進めると共にアプリケーションのアンケートロジックの構築なども並行して検討を行った。2022年3月~5月にかけて、倫理審査委員会の承認を得て、研究を開始した。</p><p>【結果・考察】</p><p> 2022年7月末時点において、ワクチン接種プロジェクトにおいては456名の登録、後遺症プロジェクトにおいては1540名の登録を得て、それぞれアンケート回答が開始された。また、後遺症プロジェクトの計画を立ち上げる段階で、自治体(豊中市)との連携も行い、研究を実施することになった。アカデミアと企業との協働の取り組みにより、新しい情報収集の仕組みが構築できたと考える。また、7月末時点では実装できていないが、リアルタイムにアンケート収集情報を公開することも検討しており、研究に参加してくれる人に寄り添った仕組みの構築も進んだ。</p>

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