カクテル試験でのlimited sampling法によるシトクロムP450を介する相互作用評価
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説明
<p>【目的】</p><p>カクテル試験は、複数のシトクロムP450 (CYP)基質薬を同時投与し、複数回の採血を行い、その薬物動態を調べることでCYP活性を網羅的に評価する手法である。本研究では、被験者負担軽減を目的としたカクテル試験でのlimited sampling法によるCYP誘導及び阻害作用評価法を検討した。</p><p>【方法】</p><p>本研究では既報の2つの臨床試験の結果を用いた。健常人32名を対象にCYP誘導薬 (rifampicin)及び阻害薬 (cimetidine, fluvoxamine)を前投与した後、caffeine (CYP1A2), losartan (CYP2C9), omeprazole (CYP2C19), dextromethorphan (CYP2D6) 及びmidazolam (CYP3A4)を基質薬としたカクテル試験を行った。両試験のCYP誘導薬及び阻害薬非併用群データを用いて予測モデルを作成し、CYP誘導薬又は阻害薬併用時の血漿中濃度時間曲線下面積 (AUC)予測の精度 (Mean absolute error, MAE)及びバラツキ (Mean prediction error, MPE)を評価した。</p><p>【結果・考察】</p><p>カクテル薬投与後各基質薬の1時点の血漿中濃度と各基質のAUCとの相関性を評価した結果、各基質薬の決定係数の平均値が最大となった1時点(投与後4時間)と高値を示した4時点(投与後2、3、4、6時間)の血漿中濃度を用いた予測モデルを構築した。CYP阻害薬併用時の全基質薬におけるMAEは、1点予測モデルでは39.5%以下、4点予測モデルでは26.2%以下であった。また阻害薬併用時のMPEの範囲は、それぞれのモデルにおいて-27.8%~21.3%、-24.8%~17.9%であった。両モデルにおけるCYP誘導薬併用時のMAEは阻害薬併用時のMAEより高値を示した。</p><p>【結論】</p><p>以上の結果から、4点予測モデルに用いたカクテル薬投与後2、3、4、6時間の血漿中基質薬濃度を評価することにより、薬物併用時のAUC変動を予測し、CYP阻害作用を複数のCYPにおいて同時にスクリーニング可能であると考えられた。</p>
収録刊行物
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- 日本臨床薬理学会学術総会抄録集
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日本臨床薬理学会学術総会抄録集 43 (0), 3-C-P-115-, 2022
一般社団法人 日本臨床薬理学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390857512439728128
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- ISSN
- 24365580
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可