JICA課題別研修におけるアフリカ地域保健人材を対象とした遠隔研修の実施

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タイトル別名
  • Implementation of an online-based JICA Knowledge Co-Creation Program on capacity development among African community health professionals

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説明

<p>目的</p><p>  旭川医科大学では2008年より来日によるJICA課題別研修「アフリカ地域 地域保健担当官のための保健行政」を実施しているが、世界的なCOVID-19流行の影響を受けて2020年度は遠隔研修と翌年度の来日研修へと計画変更した。来日研修はCOVID-19流行継続により中止となったが、本稿ではこれまでとは異なるアプローチ・手段が求められる中での遠隔研修について、得られた教訓を報告する。</p><p>方法:事前準備</p><p>  従来の7週間の来日研修から4週間の遠隔研修及び後日の来日研修に変更となったため、カリキュラムの見直しを行った。遠隔研修は2021年1~2月に開講され、5か国8名の研修員と2か国9名のオブザーバーが参加した。研修は1回90分、1日あたり2~3コマを基本とした音声付きパワーポイント資料に基づく自主学習を合計27コマ設定するとともにカントリーレポート発表及び自主学習に対する質疑応答を主な目的としたzoomセッションで構成した。Zoomセッションは1回あたり2~3時間とし、カントリーレポート発表2回、自主学習に対する質疑応答4回、ライブ講義を含めた質疑応答4回の合計10回を開催した。資料はGoogle Driveにて専用アカウントを作成し、指定されたURLより自由に閲覧できる状態にした。</p><p>結果:研修実施</p><p>  自主学習で使用する音声付きパワーポイント資料は通信環境の制限から閲覧できない事象が発生したため、該当する27コマ中24コマを動画変換して急遽開設したYoutubeチャンネルにて公開した。動画は半コマ分13分から4コマ分211分までのものを作成した(1動画当たりの平均時間58分)。残りの3コマは音声なし資料(pdf)の提供とした。また、zoomセッションは時差を考慮して日本時間の午後5時、アフリカ時間の午前中から実施したが、研修員の多くは勤務中や移動中の参加であり、また通信状況が脆弱で参加が中断する場面もあった。しかしながら、研修員の学習意欲や積極的な議論参加、質疑応答の内容により、講義内容は理解できていたと推察される。</p><p>考察</p><p>  今回の遠隔研修は、通信環境の脆弱さや執務時間中の参加等、研修実施側で改善できない事例が散見された。しかしながら、オンライン開催により容易にオブザーバー参加が可能となったことから、通常の来日研修よりも多くの参加者が一堂に会することができ、多様な交流、討論の機会を提供できた。今後、より良い研修成果を生むためにも、ホテルの借り上げ等による研修場所及び通信環境の確保等の工夫が求められる。</p>

収録刊行物

  • 国際保健医療

    国際保健医療 37 (4), 211-221, 2022

    日本国際保健医療学会

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