胸部大動脈人工血管置換術後に喀血・吐血を来した再手術症例の成績
書誌事項
- タイトル別名
-
- Outcome of reoperation cases with hematemesis and hemoptysis after thoracic aortic surgery
- キョウブ ダイドウミャク ジンコウ ケッカン チカン ジュツゴ ニ カッケツ トケツ オ キタシタ サイシュジュツ ショウレイ ノ セイセキ
この論文をさがす
説明
【緒言】 胸部大動脈疾患に対する人工血管置換術後に、喀血・吐血を来して再手術を要した症例の背景、予後を報告する。 【症例】 当院で2012年1月から2020年12月までに、喀血・吐血を主訴に胸部大動脈手術を行った24例中、人工血管置換術後の19例(喀血11、吐血8)を対象とした。 【結果】 年齢中央値73歳(49 - 88歳)、男性12例、女性7例、17例は緊急で手術を行った。初回手術からの間隔は中央値435日(55 - 1883日)であり、初回手術は上行置換1例、下行置換7例、弓部置換11例であった。手術適応は人工血管感染11例、仮性動脈瘤7例、急性大動脈解離1例であった。感染症例の内、9例に大動脈食道瘻を認めた。今回手術は、下行置換6例、胸腹部置換1例、弓部置換3例、ステントグラフト8例、自己弁温存基部置換術1例であった。全体の在院死亡は6例(32%)、生存者の術後滞在期間の中央値は101日であった。大動脈食道瘻を来した症例のうち6例は、2期的に食道抜去も施行し、その在院死亡は33%であった。一方、食道抜去を施行しなかった3例の在院死亡は67%であった。感染の有無で2群に分け検討したところ、在院死亡に統計学的有意差は認めなかった(p=0.147)。Kaplan-Meier法による全体の3年生存率は22.8%と不良であり、感染を認めた群では2年生存率9%と極めて不良であった。 【結論】 胸部人工血管置換後に喀血・吐血を来した症例の中でも、人工血管感染を生じた症例の予後は極めて不良であった。特に大動脈食道瘻を認めた場合は、食道抜去が必要であると考えられる。
収録刊行物
-
- 滋賀医科大学雑誌
-
滋賀医科大学雑誌 36 (1), 1-5, 2023-01-11
滋賀医科大学雑誌編集委員会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390857700775963648
-
- HANDLE
- 10422/00013481
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- departmental bulletin paper
-
- データソース種別
-
- JaLC
- IRDB
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可