<研究ノート>シコクビエ栽培の民族誌的研究 --エチオピア北西部アムハラ州西ゴッジャム県の事例--

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  • An Ethnography of Finger Millet Cultivation: A Case of West Gojjam Zone, Amhara Region, Northwestern Ethiopia

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抄録

エチオピア北部に居住するアムハラ人の主食は一般に、エチオピア原産のイネ科穀類テフ(t'ef – Eragrostis tef)をもとにつくる、乳酸発酵した薄焼きパン(インジェラ)であると説明される。しかし、エチオピア北西部西ゴッジャム県の農民の多くは、テフではなくシコクビエ(dagusa – Eleusine coracana)を栽培し、それからつくるインジェラを日々食べている。本稿の目的は、アフリカ地域研究で等閑視されてきた、アムハラ人によるシコクビエの栽培過程を、民族誌的に明らかにすることである。かれらは牛耕により畑を耕し、脱穀をする。農作業のおもな担い手は男性であるが、それは女性や子どもとの協働によって実現されていた。おおよそ8カ月間の作業過程を経て収穫物を前にしたとき、人びとは酒やインジェラを共食し、生活の糧を手にしたよろこびと感謝の意を表した。かれらは環境の変化に対応しながら栽培植物の種類を選択し、人間関係・社会関係を包み込む食生活を維持してきたのである。

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