高速液体クロマトグラフィーによるフグ毒テトロドトキシンの検出と定量に関する基礎的検討

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タイトル別名
  • Detection and quantification of pufferfish tetrodotoxin by high-performance liquid chromatography
  • コウソク エキタイ クロマトグラフィー ニ ヨル フグ ドク テトロドトキシン ノ ケンシュツ ト テイリョウ ニ カンスル キソテキ ケントウ

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抄録

<p>テトロドトキシン(TTX)は主としてフグ科魚類が有する神経毒である。TTXが原因の食中毒は近年でも多く見られるが,医療施設においてそれら食中毒患者の生体試料中TTXの測定はほとんど実施されていない。そこで,我々は陰イオン交換カラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析を活用して生体試料中のTTXを検出・定量する手法の構築を試みた。我々が構築したHPLC分析系では,保持時間が0.1–0.4 minの分画において,TTXを示す波形が検出された。さらに,クエン酸緩衝液で調製したTTX試料は,1.0–50 μg/mLの濃度範囲で測定が可能であり,測定結果に基づき検量線を作成することができた。続いて,ヒトの血清や尿で調製したTTX試料の検出と定量を試みた。血清試料の場合,除タンパク処理を施してもTTXを正確に検出・定量することは困難であった。一方,尿試料では,TTXは5.0–50 μg/mLの濃度範囲でTTXを示す波形の検出が可能であったが,検量線に当てはめると実際のTTX濃度よりも低い値に算出された。そこで,尿を用いて調製したTTXの測定結果に基づき,改めて作成した検量線に当てはめることで,TTX濃度の算出値を補正することができた。本研究の結果から,我々が構築したHPLC分析系はTTX食中毒患者の尿試料に適応が可能と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 72 (1), 1-10, 2023-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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