口腔領域における骨補塡材としての炭酸アパタイトの現状と今後の展開

DOI
  • 宮本 洋二
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔外科学分野
  • 福田 直志
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔外科学分野
  • 工藤 景子
    徳島大学大学院医歯薬学研究部口腔外科学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The Current Situation of Carbonate Apatite as a Noble Bone Substitute and Its Future Development in the Oral Region

説明

<p>ヒトの骨の無機成分はハイドロキシアパタイトではなく，炭酸アパタイト（CO3Ap）である．ハイドロキシアパタイトは体内で吸収されないが，CO3Apは吸収されて骨に置換する．よって，CO3Apは理想的な骨補塡材となる可能性がある．著者らは炭酸カルシウムやリン酸水素カルシウム，硫酸カルシウムを前駆物質として，焼結過程を用いずに溶解析出反応によって低結晶性の炭酸アパタイトを人工合成することに成功した．作製した炭酸アパタイト顆粒は，動物実験で，自家骨と同じように破骨細胞によって吸収され，骨と置換するとともに，優れた骨伝導性を有することが示された．上顎洞底挙上術での治験を行い，炭酸アパタイト顆粒は薬事承認され，2018年からサイトランス®グラニュール（ジーシー，東京）として市販されている．</p><p>本総説では，サイトランス®を用いた上顎洞底挙上術と歯槽堤造成術，顎囊胞の摘出窩の再建などの臨床例を紹介するとともに，著者らが考えるサイトランス®の使用上の注意点を説明した．さらに，著者らは炭酸アパタイト多孔体の作製に成功している．この炭酸アパタイト多孔体は，ウサギの下顎骨欠損モデルにおいて骨再建に有用であることが示された．さらに，炭酸アパタイト多孔体は骨伝導性を有するとともに，骨に置換するため，優れた骨再生医療用スキャフォールドになりうると考えている．</p>

収録刊行物

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390857899425066624
  • DOI
    10.11237/jsoi.35.268
  • ISSN
    21879117
    09146695
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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