<論説>一〇五九年のローマ教会会議における聖職者妻帯禁止令の再考 --教皇改革における司祭観と聖体観を巡って--

書誌事項

タイトル別名
  • <Article>Rethinking the Prohibition of Clerical Marriage at the Roman Synod of 1059: The Image of Priests and the Eucharist in the Papal Reform Movement
  • 一〇五九年のローマ教会会議における聖職者妻帯禁止令の再考 : 教皇改革における司祭観と聖体観を巡って
  • イチ〇ゴキュウネン ノ ローマ キョウカイ カイギ ニ オケル セイショクシャ サイタイ キンシレイ ノ サイコウ : キョウコウ カイカク ニ オケル シサイカン ト セイタイカン オ メグッテ

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抄録

十一世紀のローマで始まる教皇改革は聖職者を、信徒の魂救済を司るにふさわしい純潔な存在へ刷新すべく、聖職者の妻帯禁止に向けた政策を展開する。先行研究において、この動きは教皇レオ九世の時代に既に現れていたとされる。しかし、レオの教令が、ミサの挙行を妻帯聖職者にも許していた四世紀以来の伝統的な教令と類似している点に示されるように、彼は聖職者の妻帯禁止に強い意欲を示したわけではなかった。聖職者の妻帯禁止に関わる教皇改革の姿勢が明確になるのは、一〇五九年のローマ教会会議である。この会議の教令第三条は妻帯聖職者にミサの挙行を禁じることで、四世紀以来の伝統的な教令との決別を宣言した。本稿は、一〇五九年の教令とそれが布告された背景を、オスティア司教枢機卿ペトルス・ダミアニの言説もふまえて検討することで、司祭の権威を聖体と結び付けて理解する教皇改革の独自性が一〇五九年に初めて明確に現れたことを明らかにする。

収録刊行物

  • 史林

    史林 105 (5), 625-661, 2022-09-30

    史学研究会 (京都大学大学院文学研究科内)

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