家族性地中海熱における小腸病変の検討

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抄録

<p>【背景】家族性地中海熱(Familial Mediterranean fever, FMF)は遺伝性周期熱症候群の一つで、MEFV遺伝子バリアントが原因となり周期性発熱や漿膜炎を繰り返す遺伝性疾患である。FMF患者に炎症性腸疾患類似の消化管病変を認める報告が散見されるが小腸病変について報告は少なく、その内視鏡像は明らかでない。【目的】FMF患者における小腸病変の特徴を明らかにする。【方法】2015年1月1日から2022年6月30日までに当科でFMFと診断し、小腸カプセル内視鏡検査と下部消化管内視鏡検査を施行した6例における臨床病理学的特徴を遡及的に検討した。【結果】男女比は4:2、発症時年齢中央値は29歳(10-41)、診断時年齢中央値は45.5歳(17-63)、腹痛と発熱は全例で認めた。全例でコルヒチンによる症状改善を認め、NSAIDsの投与はなかった。MEFV遺伝子バリアント部位はexon2(E148Q)1例、exon2(L110P/E148Q)2例、exon8(splicing donor site 8nt c→t)1例、exon10(M694I)2例であった。内視鏡像は小腸全体に発赤、びらん、類円形潰瘍、縦走傾向のある潰瘍を認めた。病理生検は非特異的炎症をみるのみであった。【結語】FMFの小腸病変についてコンセンサスは得られておらず、症例の蓄積が望まれる。炎症性腸疾患と鑑別を要する内視鏡像をみることから、炎症性腸疾患と診断されている中の一部にFMFが混在している可能性があり、詳細な病歴の聴取やMEFV遺伝子解析が有用である可能性が示唆された。</p>

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