PPIによる腸細菌叢変化に対するプロバイオティクスの影響

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抄録

<p>【目的】PPI(proton pump inhibitor)は強力な胃酸分泌抑制効果により消化性潰瘍治療や逆流性食道炎に伴う胸痛や胸やけの緩和に使用される。近年、急速に進む高齢化で動脈硬化性疾患である脳血管障害や心疾患は増加し、その予防に必要なアスピリン処方も増加している。アスピリンは腸管粘膜傷害を惹起するので、アスピリン服用患者には予防的にPPIが併用されている。本研究の目的は、PPI投与による腸内細菌叢の変化とそれに対するプロバイオティックスの影響を検討することにある。</p><p>【対象・方法】大腸内視鏡検査施行予定の患者[コントロール群:PPI内服なし、PPI群:PPIを内服中、各20例]に同意取得し検査前に採便にて便中カルプロテクチン検査と便中細菌叢解析を行う。その後、ヨーグルトを6週間摂取してもらい、摂取後採便にてカルプロテクチン量と細菌叢プロファイルの検討を行った。</p><p>【結果】各群20例がエントリーし、コントロール群19例、PPI群18例が本臨床試験を完了した。ヨーグルト摂取前の便中カルプロテクチン量はPPI群で有意に高値であったが(P=0.001)、ヨーグルト摂取前後で各群における差は認めなかった。便中細菌叢解析おいてα多様性についてはいずれの群でもプロバイオティクス摂取前後で有意差を認めなかった。群間比較では既報と同様にプロバイオティクス摂取前はPPI群でコントロール群に比しLactobacillus, Streptococcusなどが有意に増加し、Bacteroidesが有意に低下していたが、プロバイオティクス摂取後にその変化は消失した。</p><p>【結語】プロバイオティクス摂取はPPIによる腸内細菌叢変化を改善する可能性が示唆された。</p>

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