沖縄県の一施設におけるコロナ禍の内視鏡診療

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抄録

<p>【背景】観光立県である沖縄県は人口100万人当たりの新型コロナウイルス感染者数が常に上位に位置しており、一般診療においても今まで以上の感染対策下で行われているのが現状である。沖縄県は2020年3月から2021年12月までに緊急事態宣言が3回、蔓延防止等重点措置が1回適応されている。今回、当院におけるコロナ禍前後における内視鏡検査の推移、その中でも特に小腸カプセル内視鏡検査(CE)について報告する。当院では内視鏡室4部屋(1部屋は透視室)、看護師4人、臨床検査技師1人、補助員2人体制で内視鏡診療を行っている。2020年8月以降、上部消化管内視鏡検査や入院患者は全例PCR検査を行い、2021年4月以降は下部消化管内視鏡検査でも行われている。【対象と方法】2017年度から2021年度の内視鏡検査と小腸カプセル内視鏡検査の詳細を検討する。【結果】年度別の内視鏡検査数(上下部消化管、小腸バルーン、CE、ERCPの合計)は3,185件/2,974件/3,378件/2,834件/2,723件とコロナ禍前に比べ約2割減となっている。CEは年度別に37件/45件/47件/40件/58件と2020年度では減少していたが、2021年度は最多であった。特に2021年度のCE検査の内訳は小腸出血疑いが19例と最多で、次いでクローン病関連が11例、貧血精査が7例であった。クローン病関連の割合が全体の20%と微増していた。【考察】当院においては人員の制限があることから、急な休診なども考慮し、コロナ禍前後で全体の内視鏡検査数は2割減となっていた中、CEはむしろ増加傾向であった。CEは検査前PCRを必要としないため医療従事者や患者の受け入れがよかったものと推察される。その中でクローン病関連の検査数が増加しているが、現在、非侵襲的な病勢評価としてMRI検査や腹部超音波検査以外に、ロイシンリッチα2グリコプロテインや便中カルプロテクチンも保険収載となり、コロナ禍においては非侵襲的な検査が大きな役割を果たすものと思われる。</p>

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