バルーン内視鏡で使用するオーバーチューブが深部腸管の異物除去に有用であった2症例

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抄録

<p> 症例1は、76歳女性。20XX年に貧血精査(Hb:3.9g/dl)で前医受診。OGIBの診断で当科紹介となった。パテンシーカプセルは開通性ありと判断、その2週間後にカプセル内視鏡を施行したが小腸に多発潰瘍および滞留を認めたため、ダブルバルーン内視鏡検査を施行した(オーバーチューブTS-1314B)。トライツ靭帯より約200cmに責任狭窄を認め、スネアにて保持しカプセル内視鏡の回収を施行した。NSAIDによる膜様狭窄が滞留の原因であった。症例2は84歳男性。20XY年に有鈎義歯を誤飲した。誤飲翌日に前医受診、腹部単純X線検査を施行し、右下腹部に異物が確認された。誤飲5日後の同X線検査でも異物は移動せずに停滞していた。異物の形状は鋭利であり、精査、加療目的に同日当院消化器外科に紹介となった。腹部CTにて、盲腸部に異物と思われる高吸収域を認めた。腸管穿孔を疑う所見は認めなかった。下部消化管内視鏡下に摘出を試みる方針とし、当科に紹介となった。グリセリン浣腸のみで前処置を行い、緊急の下部消化管内視鏡検査を施行したところ、盲腸部に義歯の停滞を認めた。先端フード内への引き込みが不能なサイズの異物のため、シングルバルーン用のオーバーチューブ(ST-CB1)を装用してスコープを再挿入した。鉗子での把持が困難であったため、10mmのスネアを用いて義歯を把持し、オーバーチューブ内に引き込み、チューブごとスコープを抜去した。スコープを再挿入し、明らかな穿孔や筋層に至る粘膜障害がないことを確認したうえで検査を終了した。2症例とも深部腸管の異物除去を施行するにあたりオーバーチューブの有用性が示唆された。</p>

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